ブラレイコ

ブラっと訪れた人生の寄り道からの学びを、ゆるふわに綴る場所

シン・ニホンを読んで、妄想する未来

「こんなご時世だからこそ、日本の未来を考えたい」

そう思って、この本を手に取った。内容は難しいものもあり、全ての理解などは到底していないけれど、前へ前へと読み進みたくなるような興奮が後押しし、一気に読み切ってしまった。

この本は、読み手の視座をグンっと高めてくれる。そして、大きな問いを残してくれた。

 

「日本の未来のために、あなたは何をする?」

 

安宅さんが本を書く、ということで発売前から話題になっていたこの本。

何が一体話題なのか、についての説明は割愛。
でも、少しでも興味があれば、以下の記事は読んでほしいなあと思うので、リンクは貼っておく。

note.com

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ここからは、自分のための備忘録的に、書籍の中で刺さったテーマについて記録を残して行こうと思う。

今のわたしは、書籍を読み終わったばかりの興奮状態。内容の理解については、まだまだ出来ておらず、今後、行ったり来たりと何度も読み返して行くことになるはずだ。

当然何かを消化している訳でもないのだけど、これからの自分の未来にとって、大切そうだと感じたものを中心に、振り返ってみようと思う。

 

もうそろそろ、人に未来を聞くのはやめよう。そして、どんな社会を僕らが作り、残すのか、考えて仕掛けて行こう。

安宅さんは、この2016年のTEDで「シンニホン」と言う言葉を生み出し、それから3年間様々なところで日本の未来について、話をしてきたのだそう。

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日本の未来を悲観するのではなく、批判するのではなく、次の世代のためにどうバトンを渡したらいいのか。この本には、根底に「未来を楽しみたい」と言うポジティブな意思を感じる。

テクノロジーの発達で、すべての世界がデータ×AI化する世界。変化のスピードが早く、創造性を求められる時代。
そんな未来に必要なのは、以下だ。

①この時代局面で価値を生み出せる人と場を生み出すこと

②多面的な人材のAI -Ready化

 

 

青年よ、未来は君らの非凡な選択にかかっている

①の実現においては、普通の人間とは明らかに異なる「異人」の存在がキーになる。

狭き門より、入れ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこから入って行くものが多い。命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見出すものは少ない」(マタイによる福音書第7章)

人が群がる道は、コモディティ化への道。そうではなくて、独自の道を切り開くこと。
みんなと同じ軸ではなくて、2つ、3つの異なる軸で熱狂的に取り組めば、レアな存在になれる。

同時に、大切なのは「チャームさ」。異人であろうとなかろうと、チャーミングで人から信頼を得て、愛されることが社会で成功をするのは重要でなのである。

これまでの歴史を見ても、若い「異人」が時代を刷新してきたのは事実だ。シニア・ミドル層の私たちが考えるべきは、未来の担い手となる「若い異人」をどう育成するのか、だ。

 

 

これから求められるのは「スポンジ力」より「気づく力」

②多面的な人材のAI -Ready化の話は、以前読んだ現在内閣府のHPに掲載されている「AI 戦略 2019」(有識者提案) ~人・産業・地域・政府全てに AI~」の内容とリンクしている。

が、より広く・深くこれから求められる人材・スキルについて解説されている。

結論としては、現在の日本教育のあり方の刷新が必要だ。計算機のように隙間なく微細な文言や差を覚えることは、キカイの方が得意とされている領域。これから求められるのは、人間だからこそできる、本当の価値を理解でき・操作でき・表現する力

スポンジのように吸収するのではなく、対象とぶつかり合い、自分なりに肉化する力・気づく力が大切になっていく。

ちなみに、若くはない世代においても、この「気づく力」をいまから育てておけば時代の波に乗っていける可能性は出てくる。諦めるのではなく、ぜひ頑張りたいものだ。

先日、企業のシニア層がAI時代に取り残されないためにどうしたらいいのだろう、とnoteに悶々と書いていたので……、今回の本と少しリンクしており嬉しかった。

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「空気を読む国語」から「三学(文法学・論理学・修辞学)」に

日本においては、義務教育でこれら三学をしっかりと学ぶ時間がない。企業の人事として教育に携わってきた私も、この教育のあり方には日頃から疑問を持っていた。

英語の文法は習うのに、母国語である日本語の文法は習わない。就職活動では、論理性や建設的なディスカッションを求めのに、それらを授業では学ばない。入社直後にベーススキルであるロジカルシンキングを教育をするが、学生時代には一切触れてこない。

この本にも、同じような視点で書かれていた。

「分析的、構造的に文章や話を理解し、課題を洗い出す」という育成が後回しにならない教育現場をどのように作って行けるのだろうか、と。

いま私は、大学教育にてまさに論理思考の授業に携わっている身なので、この課題に自分は何ができるのかはじっくりと考えたい。

 

 

未来を仕掛ける人を育てる6つのポイント

この章は、超永久保存版バイブルとしたい。全ての教育に関わる人の共通言語にしたいレベル。

まずは、教育に携わる自分自身のすべての仕事を、この6つのポイントに該当しているのかどうかを見直してみようと思う。

刺さったところだけ、ランダムにピックアップ。でもそれってとても雑なことなので、本来であれば全てをじっくりと読んでもらいたい。

 

・意思、自分らしさ、憧れ
「その人なりの心のベクトル」を育てること。
意味・目的を主とする。体験などから生まれる気持ちを育てる。近代・現代の偉業を成し遂げた人に触れ考える。多様性・マナーと尊厳の大切さを感じ、社会のバランスの中での判断を積む。

・仕事=力×距離
生み出す仕事の大きさは、「どれだけ大きな存在に対して、どれだけ勢いよく、どれだけの変化(距離)を引き起こしたか」

荷運び業者がある荷物を抱えて荷物の位置も含め、静止しているとする。荷運び業者が荷物を抱えている状況では、静止している荷物のエネルギーは変わらないため、荷物は荷運び業者から仕事をされていない事が分かる。

仕事 (物理学) - Wikipedia

・サイエンスの面白さと意味への理解を深める
自然からパターンを見出すことがサイエンスの根源である

・夢×技術×デザイン視点で未来を創る教育を刷新する
ここで紹介されている「東急ハンズ」が生まれる際に作られた企画書の内容が味わい深い!

www.kitasou.com


デジタルな時代だからこそ、手を動かす経験を大切にしたい。

・道具として世界語を身につける
「読む聞く」よりも「書いて話す」、「日常会話」よりも「言いたいことをソリッドに伝える力」こそ養われるべき。英語が話せない私自身の大きな課題でもある。。。
加えて、中等教育での中国語学習についても示唆があった。

アントレプレナーシップの素養
ビジネススクールに行かないとアントレプレナーシップについて学べないのが、現在のスタンダード。それでは明らかに、遅い。

 

 

老人を生かさんががために、若者を犠牲とするような国に未来はない

未来のための、若い人に投資をする国へ変わるにはどうしたらいいのか。その問い対する、ファクトとアイデアが具体的に記載されている。

「お金がない」という一言で諦めるのではなく、過去のファクトをもとに具体的な策(未来を変えるコストの概算)を提示している安宅さん。本の中では、日本を1つの事業体として考えてみる、日本を家族として考えてみるなど、素人目でも理解がしやすく説明をされている。

漠然とした「ヤバい」ではなくて、リアルに「このままだとヤバい」という感覚。だけれども、悲観的ではなくて、自分で何ができるだろうという感覚。そんな気持ちにさせられる。

 

 

働きたいと思う人が立てなくなる寸前、あるいは立てなくても社会の役に立てなくなる寸前まで誰かの役にたつ社会こそが美しい

全くもって共感だ。今の労働人口の減少、高齢者社会を考えれば、自ずと生産年齢の定義も変えざるを得ないと思う。本の中では、これを実現するための5つ提言をしている。

雇用問題、年金の仕組み、シニア活躍を支えるテクノロジーと仕組み、身体を治すテクノロジー、死の考え方、憲法25条の解釈など。

国の仕組みを刷新するために考えるべき視点って色々あるんだなあ。私は、全然わかってなかったし、見えてなかった。

だけれども、諦めたくはない。

お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが出費を多少抑えても、子供たちには教育や経験を与える家族でありたい。



僕らはどんな未来を残すつもりなのか。それが今、一人ひとりに問われている

安宅さんは、本気で未来を考え行動している人の1人だ。

kaz-ataka.hatenablog.com

そういった人が、これまで仲間や関係各所と議論したり提言してきたりしたことを、今このタイミングで書籍化して、多くの人へこの大きな「問い」を投げかけた。

シンニホンが、動き出す気がする。
これに、 乗り遅れるような、カッコ悪い大人にはなりたくはないなあ。


若者の才能と情熱を解き放つために、私ができる事は何か。

「才能と情熱を解き放つ」は、ヤフーの人材開発としてのポリシーであり、本の中でもたくさん登場する言葉であり、企業人事だった私自身が心に留めていた人事観でもある。

企業の中だけをみるのではなく、日本という視点でこれを考えること。

これからの人生のテーマになりそう!

 

 

楽しみは、つづく☺︎