ブラレイコ

ブラっと訪れた人生の寄り道からの学びを、ゆるふわに綴る場所

城マニアが教えてくれた、鶴見 寺尾城から始まる未来

「鶴見で城のイベントがあるんだけど来ない?」

と声をかけもらい、『鶴見れきぶん祭』なるものへ行ってきた。

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鶴見れきぶん祭は、今回が記念すべき第1回のイベントらしい。開催のキッカケは、鶴見まちづくりコンペの企画なのだとか。

発案者である、横浜商科大学2年生 吉田さんから開催の挨拶があった。「鶴見の歴史と文化を広めたい!」というピュアな気持ちが素晴らしい好青年。こういう形で地域のイベントが作られるって素敵だ。

  

しかし、鶴見と聞いても、お城を想像できない私。小田原ではなく、鶴見。お城なんてあったっけ?なんて思っていたら、チラシにこんな文字。

「鶴見には寺尾城があった!まちの歴史と文化にハマる1日!」

なんと!鶴見にもお城あったのか。

さてさて、一体どんなお話が聞けるのだろう!

 

 

城は、ただの城にあらず。

講演会のトップバッターは、日本城郭協会理事の萩原さちこさん。

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城は、社会の縮図。社会情勢を如実に反映しています」と語る萩原さん。

お城は、近世の城と中世の城に分別されるらしく、私たちがイメージするような天守があって石垣がある城は、近世の城らしい。

中世の城は、近世とは違って、統一化や規格化がされていない。個々の知恵と技術をめぐらせた結晶であるが故に、個性的で魅力的なのだとか。

寺尾城は、まさに中世の城だ。

 

続いての登壇者は、TVチャンピオンの初代お城チャンピオン いなもとかおり さん。寺尾城がテーマでは無かったけれど、城の魅力を存分に語ってくださり、特に石垣への偏愛トークがめちゃくちゃ面白かった。

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石を見て職人の性格を想像する。当時の職人たちの会話を想像する。この想像力は、過去と今を結びつける才能だ。

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この最後のスライドのメッセージが印象的。城があるから、今の平和な地域がある。城は、自分の地域の"見える歴史"そのものなのだ。

 

なんだか、これまで抱いてきた城のイメージが少しずつ変わってきたぞ。

 

 

城マニアたちの視座は、時空をも超える

つづいて、更にマニアック度が高まる座談会「小田原北条氏、東へ!小田原城と寺尾城」がはじまる。

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ブラタモリにも出演されている(!)小田原城天守閣館長 諏訪間 順さんと、曹洞宗徳雄山 建功寺住職で庭園デザイナーでもある 枡野俊明(ますの しゅんみょう)さん。

そして、モデレーターを務めるのはタモリ倶楽部にも出演したことのある 二宮 博志さん。こちらの博志さん、お城好きが高じて城のジオラマ "城ラマ" を生み出したり、城にまつわる様々なコンテンツを手掛けている。

こちらが、城ラマ。細かくて、リアルで、圧巻。

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詳しくはこちらのリンクを参照。

joukaku-fukugen.com

博志さんは、座談会の冒頭にこう語りかけてきた。

「歴史を探究していると、何かしらの感情が湧き上がる。それを通して自分を知ることができる。人生を豊かにできる」

城マニアは、ただ城を見ているのではない。城を通して、歴史と自分を紐付けて人生を豊かにしているのだ。

おっと。なんだか、想像以上に深い話になってきたぞ。

お三方のお話は、ディープ過ぎる世界であった。簡単には要約が出来ないくらいに難しかった。

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しかしながら、素人の私にも刺さるメッセージは幾つもあった。

「城は天守を楽しむだけでなく、城の周りを見るのが面白い

「地域には、歴史家の先生も知らない歴史がある。地域の歴史を知り、それを大きな歴史の流れに組み込んで捉えることが大事」

「教科書の歴史は表面的。政治、経済、宗教が絡めあって、城主が地域をまとめた結果が歴史になる。残された歴史から当時の情勢を想像して考えていくことが、現代の社会を生きていくことにも役立つ

 

ああ、なるほど。

このイベントは、お城マニアになりましょう!と言う安易なものではなかった。城をキッカケにして鶴見の歴史に興味を抱き、鶴見の未来をつくっていこうとしているのだ。

今回登壇された方々に共通しているのは、地域愛。そして、歴史と自分を紐付けて捉えている圧倒的な当事者意識。

 

お城マニアが見ている景色は、城だけではない。城周辺に広がる地域を見ているのだ。しかも、過去〜現代〜未来という時空を超えた視野を持って。

なんて壮大なのかしら。

このイベント、想像以上に深いい〜。

 

 

城は、地域創生のキッカケになり得るか

今回の鶴見のイベントは、寺尾城をキーにして、地元への興味を高め、鶴見を盛り上げていこうと言う取り組みだ。

小田原城であれば、天守も石垣も認識できるが、中世の山城である寺尾城はそうはいかない。だって、分かりやすい城の形が残っていないのだから。

 

しかし、そんな寺尾城だからこそ、小田原城よりも、地域への融合度合いは高いと言えるのかもしれない。

寺尾城の存在を知り、地元の歴史に興味を抱く。

日常の風景の裏にある、成り立ちや経緯。それを知ることは、確かに地元の未来を考える第一歩に違いない。

 

私たちが住んでいる街には、かつての城主がいたはずなんだ。誰かが治めていたから、今がある。そんなこと、今まで想像したことなかったなあ。

今回のイベントでは、地方創生の新たなアプローチに気づかされた。

地元の城をキッカケに、私たちは歴史の当事者になれる。そんな知的好奇心から、地域愛が高まっていくのって楽しいな。

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城って、偉大だね。面白いイベントに誘ってくれてありがとう、博志パイセン!(写真右)

 

 

楽しみは、つづく☺︎