ブラレイコ

ブラっと訪れた人生の寄り道からの学びを、ゆるふわに綴る場所

「水鏡茶会」に垣間みた、里山十帖の魅力

5月の半ごろ。
お気に入りのお宿「里山十帖」のfacebookページで目にしたイベント告知。


水田の中で、中国茶のお茶会を開催する“水鏡茶会”


水鏡茶会…?想像が出来そうで、出来ない。

でもきっと、素敵な茶席に違いない、と期待値のあがる告知につい惹かれ。

このイベントへの参加を決意する。


特別な美空間、里山十帖

里山十帖は、雑誌「自遊人」の編集長 岩佐十良さんがプロデュースした温泉宿。

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訪れるたびに、食事の美味しさと、温泉の気持ち良さと、空間の居心地の良さに満たされるスペシャルな場所。

絶景露天風呂「里山十帖」 created by 自遊人 越後湯沢・大沢山温泉www.satoyama-jujo.com


ここには、最上のものが揃っているのだけど、一切押し付けがましくない。飾り過ぎない上質感がとても心地良い。

何度も足を運びたくなるスペシャルなお宿だ。

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いざ、茶席となる水田へ

里山十帖に到着後、水鏡茶会のガイドを受けて、さっそく出発。

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見えてきたのは、里山十帖から車で数分の水が張られた美しい風景。

「水鏡茶会」とは、田植えをする前の、いまこのタイミングでしか開催できない、超特別空間だった。

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茶席は、2種類用意されていた。

それはまるで、自然のなかの「内」と「外」のような、相反するコンセプトに感じた。


最初は「内」

田んぼに流れる水を音を聴きながら、自分の内側で自然の広がりを感じるような茶席。

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即席で造られたベンチに腰かけ、スタンバイ。

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茶主は、陶芸家であり「旅する茶人」の市川孝さん。お手製の茶車で、どんな場所でも茶席にしてしまう市川さんは、日常のなかで見過ごしてしまいそうな、草花や水の流れの美しさに気付かせてくれる人。

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茶菓子は、京都柴野の「御菓子丸」杉山早陽子さんが担当。いまの季節にピッタリな涼しげなお手製の和菓子を振舞ってくれる。

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その演出に、茶席の会話も弾み、各々が感じたことを共有する。その体験が、また個々の内側を豊かにしてゆく。

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緑の中でいただくお茶とお菓子に、心がどんどん穏やかになってゆく!

 


つづいては「外」

水鏡茶会の名にふさわしい、開けた空間に現れた茶席へ。

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青空のもと、まだ雪が残る山々を眺め、水田の真ん中に設置された畳に座る。

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茶室の基本は四畳半なんて言うけれど、ここは大自然のど真ん中。地球まるごと茶席となってしまうくらい、遮るものがない空間。

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茶主は、京都・岡崎で中国茶房を主宰されている横山晴美さん。透明感のある横山さんは、この美しい自然空間の一部になっていた。

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所作の美しさに、うっとり。
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こんなにも広い空間にいるのに、ここに居れば居るほど、心が落ち着いていくのが不思議。

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2席ともに、本当に素晴らしい茶席でございました。

 


「表」と「裏」を教えてくれる、里山十帖

美しい水田を見て、ここに茶席を設けようという発想を抱き、それを実現してしまうなんて。

さすが、クリエイティブな人たちは違う。その発想と実行力、真似できない。

なんて、思っていたのだけど。

 

その考えは、間違っていました。

茶会を終わり、横山さん・杉山さん・市川さんを囲んで、皆んなで夕食を食べていた時のこと。

茶人 横山さんが、裏話を教えてくれた。

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初めての場所でどう茶席をつくるべきか、早朝から開始時間ギリギリまで皆んなで悩まれていたこと。


温度が上がらず、野外でのお茶を淹れることに苦労されていたこと。


実は、水鏡茶会は、想定しないことだらけだったこと。

 

なんと、そうだったのですか…!(驚)

里山十帖にとっても、プロな茶人の皆さんにとっても、この水鏡茶会はチャレンジングなことだったなんて。

あのアートのような世界の裏に、皆さんの焦りや不安や悩みがあったとは…想像できていなかった。

 

「実現したら素敵だな!」と思える世界を、本気で実現しようと試行錯誤してみる。しかも、皆んなで楽しみながら。

あの茶会は、そうして実現されたものだった。

 

今回のイベントは、茶会に加えて、全員で夕食をとる時間が用意されていた。即ちそれは、「表」の美しさを体験するだけでなく、「裏」にあるつくり手たちの想いやリアルな声も教えてくれる時間だった。

何とも、懐の深いイベントである。

つくり手たちの想いを知れば知るほど、水鏡茶会が特別な体験となっていく。

 

贅沢って、こういう事なんだ!

だから、里山十帖がつくる世界観は、素敵なんだ。と、妙に納得してしまう。

 

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里山十帖は、最上のものが揃っているのだけど、一切押し付けがましくない。飾り過ぎない上質感がとても心地良い。

それはきっと、本気で良いものを目指すことの喜びを知っている人が集い、常に試行錯誤をしているから。

 

イベントに参加したことで、里山十帖の魅力のコアな部分が、垣間見えた気がした☺︎

 

今回もいい刺激をもらえたなぁ。

やっぱり、この場所が好き。来てよかった。

 

(最後に、どうしても追記)

今回詳しくご紹介しなかったけれど、夕食も朝食も、お食事は全部とっても美味しかった。

こちらは、花と水をテーマにした夕食の写真。料理人さんたちの試行錯誤を感じる♡

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そして、楽しみはつづく☺︎