ブラレイコ

ブラっと訪れた人生の寄り道からの学びを、ゆるふわに綴る場所

見えない何かを感じる日本人

先日、日本学を研究されてる方のお話を聞く機会があった。

日本学では、仏教・儒教神道をもとに日本精神を考えるらしい。宗教を知らずに国の理解はできない、とのこと。
宗教観をとらえることで、日本独自の哲学や思想が分かってくるのだそう。

ちなみに、わたしは、仏教・儒教神道の理解は浅く、人に説明するレベルには到底及ばず…。日々勉強だなあと改めて感じたのでした。

 

難しい話はさておき、

今回は「見えない何かを感じる日本人」に注目して、思いつくままに纏めてみる。
目に見えない何かに、尊さを感じたり、力があると信じたり、感謝したりする感覚。
昔から受け継がれ、わたしたちの中に残っているように思う。

 

この感覚、一体何なのでしょう?これが日本精神?
全く整理はできていないけど…じつに興味深いこのテーマ。

いまの理解を綴っておきましょう。

 

八百万の神さま

神道の考えでは、神さまは八百万(やおよろず)=数多く存在するという。

太陽、月、星、風、木々、石、田など、自然界には神さまが宿っていると考え奉ってきた。さらには、自然以外にも、家、台所、トイレ…そして偉業を成した祖先たちに至るまで、さまざまなものに神さまを感じ奉ってきた。

神道の教えは、宗教…と言うよりも、わたしたちの日常のなかに残っているように思う。

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▲こちらは、今年の初日の出の写真。

わたしは、毎年初日の出を見ながら、家族の健康や平和な1年への感謝を祈っているのだけど、太陽の光を眺め祈る瞬間は、いまも昔も、どんな人だろうと、純粋というか素のままというか…差はないのかな?と思うときがある。これは八百万の神さまの信仰に近いのだろうか。

もちろん、昔の人はもっと自然が身近で、良くも悪くも(災害とかもあるし)自然の力を感じて生きていたのだから、その重みは違うのかもしれないけれど。

それでも、現代においても八百万の神さまを無理なく受け入れられる感覚がある、と言うのはとても興味深い。

 

この、自然の力を感じる…に繋がる話として、「気(氣)」がある。

  

目に見えない「気(氣)」を感じる私たち

元気、空気、景気、活気、覇気、正気、精気、気配、気分、やる気、気持ち、気遣い、気合い、気晴らし、気が抜ける、気張る、無邪気、邪気、病気…。

わたしたちの日常には、気(氣)が溢れている。見えない何かを表した言葉が付いている言葉がたくさんあって、現代も日常のなかで当たり前に使われている、というのも面白い。 

 

また、「穢れ(けがれ)」という言葉は、もともと「気枯れ」と書いたそう。…気が枯れることを穢れと言ったようだ。ここにも気(氣)の文字がある。そして、気が枯れてしまったら「祓う(はらう)」のがお決まりだった。

 

そう、日本には、祓う文化がある。

 

言葉の音のチカラ

祓う文化の一つに、祓詞(はらいことば)がある。祓詞は、祝詞(のりと)の一種として分類されるので、まずは祝詞が何なのかを調べてみよう。

 

祝詞(のりと)

昔は神の言葉そのものを指す言葉でしたが、現在では神に奏上する言葉の意味となっています。その内容はまず神名と神徳をたたえてから祭りの趣意を申し上げ、そして神のご加護を祈ります。日本人は古来より言葉には霊力が宿るものと信仰し、その言霊 (ことだま) により、神さまに申し上げるのが祝詞であります。(住吉大社より)

 

祝詞は、言霊の考えのもと成り立っているとも言える。万葉集にも、「日本は言霊の祐(たす)くる国」「言霊の幸(さきは)ふ国」と歌われているように、昔から言葉には不思議な力があると信じられていた。

 

そう言えば、先日お会いした、鹿島神宮の七十一代当主嫡男 鹿島 則綱さんからこちらをいただいたのを思い出した。

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ここにも、祝詞がいくつも書かれている…!

殆どの方は日常で祝詞と関わることってないかと思うけれど、神社などで見たり聞いたりした経験はあるのではないだろうか。

お祓いやご祈祷をお願いしたときに、神主さんが詠みあげた言葉、あれが祝詞だったんですね。

なお、祝詞については、現在絶賛お勉強中。こちらの書籍、見た目マニアックではあるものの解説が丁寧なので気に入っている。

古神道祝詞 CDブック(太玄社)

古神道祝詞 CDブック(太玄社)

 

 

そして驚いたことに、初音ミク祝詞の歌をたくさん歌ってるみたい。 

【初音ミク】大祓詞-Song of The Oharae- - YouTubeyoutu.be

いまどきは、こうやって祝詞が受け継がれ、世界へ発信されていくのか…!

神道とサブカルのコラボレーション、融合が得意な日本らしい発想なのかもしれません。(日本って大らかな国だなあ…)

 

日常のなかの、ふとした一言

最後に、毎日の生活を振り返って見ると、目に見えないものに感謝していたことに気づく。

 

「いただきます」

「ごちそうさま」

 

1人でご飯食べていても、つい声に出してしまうこの言葉。

 

「いただきます」は、料理をしてくれた人、食材を育ててくれた農家さんや関わるすべての人、そして食材そのものへの感謝の言葉。「あなたの命を頂いて、わたしの命に変えさせて頂く」という意味。 

「ごちそうさま」は「ご馳走さま」と書き、料理をつくるために走り回り用意をしてくれた全ての人への敬意と感謝の意味。料理だけでなく、おもてなしの気持ちに対する感謝も含まれている。 

 

この「いただきます」「ごちそうさま」は日本独特の言葉とも言われている。他の言語だと、一言で表すのが難しいらしい。

これら言葉に表れる、自然と周囲の人との調和や繋がりを常に感じ、敬意を払い、感謝する生き方。わたしは、この考え方がとても好きだし、大切にしたいと思う。
そして、次の世代にしっかり受け継いでいきたい。

 

今回のタイトル「見えない何かを感じる日本人」は、「自然や人との繋がりに感謝しながら生きる人」とも表現できるのかもしれない。

宗教とか言霊とか、そういう難しい事ではなくても、確実に受け継がれ残っている日本人の感覚というものがある気がする。

 

わたしは、それを紐解いていきたいんだなあ、と改めて気づいたのでした。

 

楽しみはつづく☺︎