ブラレイコ

ブラっと訪れた人生の寄り道からの学びを、ゆるふわに綴る場所

「和暦 日日是好日」につまった愛を紐解く

2018年版の手帳「和暦 日日是好日」が、無事にわが家にやってきた!
 

この手帳、ただの手帳ではない。日本の暦や季節に纏わるあらゆる情報が惜しみなく載っていて、もはや手帳の域は超えている。
製作者である、高月美樹さんのこだわりと愛が詰まった”作品”なのである。

LUNAWORKS:月と暮らす旧暦手帳 「和暦日々是好日」

愛用者としては、これからも高月さんへ敬意をもって使っていきたいので、その素晴らしさについて改めて言葉にしてみようと思う。

 

和暦 日日是好日とは何者なのか

タイトルの「日日是好日」(にちにちこれこうじつ)は、わたしの好きな言葉のひとつ。どのような日でもその時その時を受け入れ、ありのままに精一杯生きれば、素晴らしい一日となるという、深い意味のある禅の言葉。

起きたことに良い・悪いと優劣をつけて一喜一憂するのではなく、”いま”に集中して生きること。そんなメッセージがこのタイトルから伝わってくる。

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▲左が今年の手帳、右が来年の手帳。カバーの色味も黄色からヨモギ色へ。気分も一新、使うのが楽しみ。

この手帳は、旧暦と言われる太陰太陽暦(詳細はあとで説明)を用いている。各ページには、製作者の高月美樹さんがセレクトした、暦に関するさまざまな情報がたっぷり詰まっている。

旧暦と西暦、月の満ち欠け、七十二候、二十四節気、季節の植物、季語、和歌、俳句その他暦に関するコラムなどなど…これほど読み応えある手帳は他にはない。

 

2018年のコンセプトは「生態系」

毎年、手帳製作にあたりコンセプトが決まっている。2018年のコンセプトは「生態系」とのこと。暦にまつわる植物と虫のコラムが多く掲載されているらしい。

早速、見てみよう。

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ヨモギ色のカバーをめくると、美しいピンク色の表紙に和暦 日日是好日の文字。

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 ▲さらに開くと、美しい植物の絵。江戸時代以降の図版から引用された挿絵だ。とても丁寧に描かれており、いまでも充分に通用する植物図鑑のよう。手帳のコンセプトにマッチした江戸時代の完成度の高い図版が、あちこちに転載されており、見ているだけでも楽しめる。

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▲月初めのページ。その月、その季節に纏わるさまざまな説明、俳句や和歌、季語などの紹介が掲載されている。

過去の偉人たちが詠んだ俳句や和歌を知るという機会は、この手帳以外ではなかなか無い。季節の美しいワンシーンに対する想いを綴る歌には、昔もいまも共通する「日本人の感性」が詰まっているように思う。

 

例えば、今年版の手帳のいまの時期には、次のような歌が掲載されている。

大根を 刻む刃物の 音つづく (誓子)

大根は冬の季語。大根は、もともとは古代エジプトが原産、弥生時代に日本にやってきたとされる。江戸時代の農業書では筆頭にあげられる野菜のひとつ。いまも昔も、寒くなること時期に食べることが多くなる大根。

大根を刻む音がリズミカルに台所から聞こえてくる…寒くなった時期に見られる日常のワンシーンを詠んだ歌。

うらを見せ おもてを見せて 散るもみぢ(良寛

一見、秋の美しい紅葉シーンを詠んだものに見えるが、この俳句にはもっと深い意味がある。これは良寛の辞世の句であり「自分の裏も表も、飾ることなくありのままを見せて生きてきたから、思い残すことは無い。」という良寛の死生観を詠んだ句とされている。

ちなみに、手帳には和歌や俳句の解説までは載っていない。でも、気になるものを自分で調べてみることで、その背景を知ることができ理解は深まる。

太陰太陽暦で過ごすということ

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▲こちらは、日付のページ。旧暦と西暦が併記されており、月の満ち欠けもわかりやすく記載されている。

ページ下方には、その季節に纏わる植物や虫、季節をあらわす言葉の情報が載っており、ページをめくるたびに新しい知識を得ることができる。わたしはこのコーナーが大好き。

ここで、日本の暦について簡単に解説。3つの暦の違いを整理しよう。

1)太陽歴
太陽の動きだけを考え作成された暦。地球の公転運動(1太陽年)を基本単位としている。グレゴリオ暦とも呼ばれ現在世界各国で用いられている。日本では、明治6年から太陰太陽暦に変わって採用されている。

 2)太陰暦
月の満ち欠けする周期を基準にして作成された暦。29日、30日の月を交互において1年を354日とし、30年に11回の割合で30日の月を2回続ける。

3)太陰太陽暦(旧暦)
月の満ち欠けする周期で日を数え、1年の期間は太陽の動きを用いて作成された暦。
太陽歴と比べ1ヶ月が短く、1年が13ヶ月になることもある。太陽歴が導入されるまで日本で用いられていた暦。
✳︎「和暦 日々是好日」ではこの太陰太陽暦が 用いられている。
✳︎ 太陰太陽暦に関して、楽しく学べるサイトとしては以下はオススメ。
 ほぼ日刊イトイ新聞 - むかしの暦で、いまを楽しむ。




文字にすると、なんだかどれもややこしい…。

ただ、毎日の生活のなかでは、太陰太陽暦を複雑に感じることはほぼ無い。毎月、新月の日から月が始まり、月半ばで満月を迎え、新月には次の月が始まる…というただただ繰り返しなのだ。極めてシンプルな考え方なのは間違いない。

ちなみに、太陽太陰暦での1年の始まりは、旧暦の元旦(立春に近い新月の日)。来年で言うと、2/16(金)が旧暦の元旦になる。つまり、いまこのような記事を書いて盛り上がっているものの、実際に来年の手帳を使い始めるのは3か月も先の話ということになる…。

 

これ、まさに現代の歳時記なり

手帳を使い始めて約1年。

一番の変化は、月の満ち欠けに敏感になったこと。いま新月に向かっているのか、満月に向かっているのかは、当たり前のように意識するようになった。
西暦ではなかなか感じられない、自然のサイクルと自分の生活サイクルの一致。昔のひとにとって当たり前なことでも、現代のわたしには、とても新鮮なこと。
 

手帳に求めることは人それぞれだと思うけれど、わたしの愛用するこの手帳は、日本の暦と季節を勉強するには最適のものだと思う。手帳の枠を超えた、現代の歳時記のような存在。それが、わたしにとっての「和暦 日々是好日」。

この手帳を通して知り得たことが、日々の豊かさに通じていきますように。 

 

LUNAWORKS:月と暮らす旧暦手帳 「和暦日々是好日」:オーダーページ

  

楽しみはつづく☺︎