ブラレイコ

2020年東京オリンピックまでに知っておきたい日本の魅力をマイペースにゆる〜く記録☺︎

大地の芸術祭で、人はより人間らしくなる

新潟の自然はワイルドで、深くて、どこか懐かしい。


先日のこと、新潟県十日町で開催された「大地の芸術祭」へ行ってきた。芸術祭は、昨年の奥能登で開催されたものから2回目。新潟の芸術祭には、初参加だ。

稲刈りを待つ稲穂が、美しいこの季節。わたしたちは、新潟の地で、日本人のDNAを存分に感じることができた。

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芸術祭をする意味とは

その土地を知る方法は いくらでもある訳だけど、外から来た人間が、その土地を理解して住む人との接点を作るというのは、なかなか難しい。

特に過疎が進んでいる地域は、高齢者も多く閉鎖的になりがちだし、環境スポットや商売やっている人でもない限りは、土地をPRすることもないだろうし。

そんな中に、あえてアート作品を送り込むことで、新しい化学反応をつくろうと考えたのが、芸術祭だ。

アーティストは他者の土地にものをつくらねばならず、地域とのコミュニケーションが欠かせません。やがてアーティストの熱意が伝わり、住民は協働者として作品に関わり始めました。また、都会から多くの若者がボランティアに参加し、「過疎地の・農業をやってきた・お年寄り」と「都市で・何をやっているかわからない・学生」との出会いは、衝突・困惑から理解・協働へと変化していきました。

普段出会わないもの同士が出会うことは、とってもストレスフルだと思うけれど。向き合って、ぶつかって、打ち解けたとき、新しい”何か”が生まれるに違いない。

そして、わたしたち来訪者は、その”何か”を、アート作品から、その土地の人たちから、ボランティアスタッフから、感じることができるのだ。


簡単ではない融合であるからこそ、芸術祭はわたしたちを魅了させる。

www.echigo-tsumari.jp

 

そこにあるストーリーに触れ、教えられる

「この棚田は、ずっと一人のおじいさんが管理をしていたものなんだ。

急斜面の雑草を刈ったり、田を耕したり、手入れを一人でやっていたけど、高齢にともなって棚田を手放すことを決めたんだ」

その「棚田」は、まつだい農舞台といって、芸術祭の代表的なスポットの1つにあるアート作品だ。

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新潟の美しい棚田に、伝統的な稲作の情景を詠んだテキストと、対岸の棚田で作業する人々をかたどった彫刻を配置された、このアート作品。

何も知らずに見ても、四季折々の棚田の情景を彷彿とさせるのだけれど、それだけだと足りていないストーリーがある。

この棚田は、アート作品の以前に「一人のおじいさんの棚田」という事実。おじいさんは、作品を作ろうとしていた訳ではない。自分の生活の一部として、この棚田を耕していた。

今年、この棚田をアート作品にすることをオファーしたとき、おじいさんはすぐには承諾をしなかったそうだ。

自分が作り上げて来た棚田に対する、色々な想いがあったのだろう。

そんなおじいさんを想像しながら、アート作品を改めて見てみる。あの彫刻は、移りゆく季節のなかで、棚田を向き合っていたおじいさんの姿なのかもしれない。

見ず知らずの(顔すら知らない)おじいさんのことを想いながら見る「棚田」から、わたしたちは沢山の感謝を想う。

棚田を守ってくれていたおじいさんへの感謝、
農作物を作ってくださっている農家の皆さんへの感謝、
この芸術祭を支えてくれている地元の皆さん、スタッフの皆さんへの感謝。

アート作品の背景にあるストーリーに触れるだけで、目の前の景色に違った想いが湧き上がる。それもまた、芸術祭のおもしろ味なのかもしれない。

 

 

初めての土地に懐かしさを感じる不思議

この地にやって来るのは、全くのはじめてなのだけど。そこで見る風景に、なぜか懐かしさを感じてしまうのは何故だろう。

山に囲まれた美しい田んぼ道、どこまでも広がるブナ林、木造建築の小学校…… それらは、生まれてはじめて訪れた場所なのに。

どこか懐かしく、落ち着く。

こういう景色を「原風景」というらしい。

原風景(げんふうけい)は、人の心の奥にある原初の風景。懐かしさの感情を伴うことが多い。また実在する風景であるよりは、心象風景である場合もある。個人のものの考え方や感じ方に大きな影響を及ぼすことがある。 

原風景 - Wikipedia

わたしの記憶のなかに、これらの風景が刻み込まれていたということ。

わたしが実際通っていた小学校なんて、木造どころか、コンクリート打ちっぱなしの最新小学校だったのにも関わらず、だ(笑)

子供のころの記憶のなかで、どこかで日本の風景のイメージをつくっていたのだなあ、と気づかされる。


なんだ、ちゃんと染み付いてるじゃん、日本人のDNA。

そう思った途端、うれしい気持ちが湧き上がる。
無意識の意識が、表出した瞬間。わたしたちは、自分の内側から自国への愛情を感じることができた。

 

 

芸術祭は、人間を人間らしくする1つのアプローチ

最後に、大地の芸術祭で出会ったアート作品の数々の写真を。

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芸術祭として開催をするのは3年に1回ではあるけれど、作品たちの一部は撤去せずにそのまま残される。

この土地は、芸術祭をキッカケに、アート作品を受け入れ、アート作品とともに暮らす選択をしたのだ。


閉鎖的な土地に、あえてアート作品を融合させる。それによって、日常では出逢わない人たちが交差する。

もちろん大変なこともたくさんあるのだろうけれど、ポジティブな変化も訪れる。
地元の皆さんや関わりあった人たちの、活力や、笑顔や、誇りが生まれるのだ。


芸術祭、それは極めて人間的なアプローチ。

世代・地域・ジャンルを超えて、わたしたちの奥底にある感覚に刺激を与える。
閉ざされた、個々の日常では起こりえないことが、芸術祭というプラットフォームの上では起こり得るのだ。

今回、わたしたちは、総勢17名で芸術祭へ出向き、新しい繋がりが生まれた。
芸術祭の、その一部となったのだ。


これは癖になる。また、行こう〜っと。

 

楽しみはつづく☺︎

「日日是好日」から学んだ、生き方のヒント

本は、時に、人生にとって とてもたいせつな事を教えてくれる。

この、森下典子さんの「日日是好日」は、生き方のヒントを教えてくれた特別な一冊だ。

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

 

数年前、どこを目指せばいいのかがわからず不安と焦りいっぱいのわたしに、斜に構えずに空っぽになって良いのだと、優しく教えてくれた。

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文月に想う、季節を感じる色好みなセンス

気がつけば、いつの間にか立秋も過ぎ去り、処暑の季節へと移り変わっていた。

 

立秋と言えば、こちらの歌。

秋立つ日、よめる

秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる

 

立秋の日に、藤原敏行が詠んだ歌。

今年の立春(8/7)には この歌を感じよう、と手帳にメモをとっていたのに。
すっかり忘れていたことに今日(8/28)気づく。(残念すぎる、私)

 

気を取り直して、こちらの歌を詠むと、
目には見えない秋の気配を、風の音によって感じ取るという素敵な情景が見えてくる。
視覚ではなく、聴覚で季節を感じるなんて。とっても粋な表現。


こんな歌を詠む藤原敏行ってどんなひと?と調べてみたら 
こちらのサイトによると、「色好みな方」だった様子(納得です)

平安時代初期、藤原氏の中では初めての優れた歌人で、三十六歌仙にも数えられました。能書家としても名高い人です。『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』では色好みの男として描かれます。当時の色好みとは、風流な人、粋な人をさして使う言葉です。 

http://www.geocities.jp/saint_flwer/poem/waka/akikinuto.html

季節のちょっとした変化を感じ取って、言葉にするって素敵。
きっと、藤原敏行も素敵なひとだったに違いない。


今日は、せっかくなので、この時期を表す「色好み」な言葉をいくつか記録しておく。 

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伊勢神宮の森に教えられる、古の智恵

この1ヶ月ちょっと、ブログ更新は滞ってしまったけれど
日本の自然、精神、文化…… など数々体感する機会をいただけた実りある月であった。

今回は、6月に伊勢神宮を訪れて感じたこと、神宮の近くのカフェで購入した「伊勢神宮の智恵」から学び得たことを中心に、つらつらと書き留めておく。

The Wisdom of Ise Jingu   伊勢神宮の智恵

The Wisdom of Ise Jingu   伊勢神宮の智恵

 

 

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宮家と公家の世界をちょっと覗いてみた

早起きをして、文京区にある肥後細川庭園へ向かう。青い空に生命力溢れる緑。とても美しく、空気が良い。

https://www.instagram.com/p/Bi9QsYmh0rN/

月に1度の日本伝統文化継承者協会 Genuine Japanの講座の日。

会場が、細川庭園にある松聲閣(しょうせいかく)とのことで、久しぶりに庭園も楽しむことができた。

今月の講座テーマは「宮家・公家」。今回もまた、新しい発見ばかりの貴重な回となった。

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春の空気に虹をかけ、僕らは日常に輝きを取り戻す

昨日の春雨から一転、今朝は太陽の光が雲の隙間から差し込んでいた。

雨上がりの匂いと、遠くで聴こえる小鳥のさえずりに、キラキラした1日の始まりを感じられたのは、昨夜 武道館で過ごした魔法のひと時のおかげに違いない。 


小沢健二さんの武道館ライブ「春の空気に虹をかけ」に行ってきた。

アルバム「LIFE」を繰り返し聴きながら、赤いダッフルコートを買いに原宿へ向かったあの頃から、もう20年以上が経つ。

大好きでウキウキする気持ちはあの頃と変わらず。ただ、あの頃より人生経験が ”少し” 増えた分、曲から受け取るメッセージにも ”少し” 深みを増したかもしれない。

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知的セクシーな岡倉天心の表現力に萌える

その文章を読んだとき、心の内側にある何かが湧き上がり、高揚が止まらないほどの感動を覚えた。

美しくて、愛があり、知性が溢れる言葉の羅列に、一瞬にして恋に落ちた。その文章の全てが完璧な表現で、圧倒的で、わたしのハートのど真ん中を一瞬にして撃ち抜いた。 

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